Category Archives: きしもと眼科ブログ

多焦点眼内レンズ(ビビティ)について

当院では現在、さまざまな老眼矯正多焦点眼内レンズの取り扱いをしておりますが
本年度より眼内レンズのトップシェアのalconの最新眼内レンズ Clareon Vivity(クラレオン ビビティ)の取り扱いを始めました。

従来の多焦点眼内レンズ特有のデメリットを最小限に抑え、単焦点眼内レンズのメリットを持ち合わせている眼内レンズです。

ビビティの特徴
1.単焦点レンズと同等のコントラスト感度を有するため
2.多焦点眼内レンズの特有の副作用である ハロー、グレアといった症状がほぼないため視界が良好である
3.遠方、中間視力、実用的な近方視力がでる(ほぼ裸眼で生活ができる)

といった従来の多焦点レンズのデメリットを極力減らしたレンズとなります。

ここの部分は、多焦点眼内レンズを入れた方に多い副作用ですので注意です。
通常の多焦点レンズを入れた場合、暗くなったときに車のヘッドライトを見たときにまぶしく光の周りにリング状のものが見えるようになったといわれることがあります。

ただし、ビビティに関してはこの副作用がほぼないといわれており夜間の運転にも支障がないといったメリットがあります。

 

 

以前は適応外であった緑内障や黄斑部の疾患がある病気に対しても手術が可能となりました。
よって多焦点レンズが希望でしたが、病気のため単焦点レンズしか無理という状況ではなくなったのが非常にありがたいです。
ただし、もとの病気が治せるわけではないので例えば緑内障によって視野が欠けていた場合それは残るので視力が思った以上に出ない場合もあります。

ビビティのデメリット

いいとこづくめのレンズに思えますが、デメリットもないわけではなく、他の3焦点眼内レンズと比べて、近くの見え方がやや弱くなるため状況に応じて老眼鏡が必要となる場合があります。
カタログ上では40cm の近方においては他の3焦点レンズは1.0出ているのに対し、0.6程度となり若干距離を離してみるか老眼鏡を要する場合があります。

その点では普段から細かい作業が多く本、新聞などを裸眼で見たいという方は3焦点レンズの方がおすすめとなります。
ただし、生活に必要なある程度の生活するうえでは眼鏡がなくても支障はないと思います。

現在のところ、乱視対応のレンズはまだありませんので強い乱視がある方はお勧めできません。
メリット、デメリットを知ったうえで失敗のないように選んでいただくことをお勧めします。

当院では日本国内で使用できる多焦点レンズをとりそろえておりますが、種類が多い分、非常に選ぶのが困難になってきております。

もちろん、以前からある単焦点レンズの方が良い場合もありますので、もし希望される場合は相談の上で個々にあった眼内レンズをお勧めさせていただきます。

 

近視進行抑制薬マイオピン点眼の取り扱いについて

ご覧いただきましてありがとうございます。
マイオピンという点眼薬をご存じでしょうか?

これは小児期の近視の進行を軽減させることを目的に配合された点眼薬としてSingapole National Eye Centreの研究に基づいて開発されております。
低濃度のアトロピンは近視の進行を遅らせるという点で統計的にも臨床的にも有意義な効果が確認されている治療法の1つです。近視の進行を平均60%軽減させる点眼薬といわれております。

当院では従来マイオピン点眼0.01%の取扱いをしておりましたが
今月より0.025%のみに変更させていただきました。

 

従来の0.01%と比較したグラフにおいては0.01%より0.025%においてより強い近視抑制効果がでておりかつ0.05%ほどではないにしろ副作用が少ないという報告があります。
当院でも多くの方が使用されていますが現在のところ副作用などは聞いておりません。

現状市販されているものが0.01%と0.025%となりますがより近視進行を抑える意味で、今後はこちらのみ当院では処方させていただきます。

https://www.myopine-eyelens.sg/

 

緑内障に対する新しいレーザー治療について

当院では、緑内障に対する新しい治療として、低出力のマイクロパルスレーザー(以下、MLT)を使用した緑内障治療を実施しております。
MLTを施術により、眼圧を下げ、日々の緑内障点眼を減らすことが可能となりました。

1. 開放隅角緑内障とは?

眼の中には「房水」という水があります。眼内の房水は角膜と水晶体の健康を保つために、たえずバランスのとれた速度で産生・排出されています。ところが、排水部分である繊維柱体が目詰まりをおこすと、眼圧上昇が生じ、視神経が弱ってしまい、視野狭窄や視力低下、失明に至ってしまいます。

 

 

 2.  緑内障の治療法について

<点眼薬>

一般的な治療法ですが、生涯にわたって点眼を続ける必要があります。時に副作用が原因で使用できない場合があります。

<レーザー治療>

レーザー治療(MLT)は合併症の少ない治療法で、どの過程においても選択が可能な治療です。ただし、効果が不十分な場合もあります。

<外科的手術>

点眼薬やレーザー治療によっても目標眼圧に到達できず、このままでは進行のリスクが非常に高い場合に選択されることが一般的です。

3.MLT(マイクロパルスレーザー線維柱体形成術)とは?

マイクロパルスレーザーを房水の流出路である繊維柱体に照射することにより、線維柱体を障害することなく眼圧下降が期待できる治療法となります。

1回のレーザー治療で、2~3年間効果を持続することができ、点眼治療のような粉らわしさがありません。また、繰り返し施術が可能なため、一定期間の点眼を減らす事ができたり、点眼なしで経過観察が可能だったりします。
ただし、効果には個人差がありますので、レーザー治療後に十分な眼圧下降効果が認められなければ、点眼治療など別の治療を追加する必要があります。

4.レーザー治療はどのように行われるか?

麻酔薬の目薬をした後に、レーザー用のコンタクトレンズをつけて行います。通常、痛みはありません。5分から10分程度でレーザー治療は終わります。また、まれにレーザーの追加が必要な場合があります。施術当日は特に安静の必要はなく、ふだんの生活を過ごすことができます。

下図のように、線維柱体の全周に140~150発のレーザーを照射します

5.レーザー治療の危険性は

虹彩炎症をおこす事、一過性の眼圧上昇を起こす事はありますが、基本的には非常に低出力で安全なレーザー治療なので眼内構造に損傷を及ぼすことは少ないです。

  • 費用

MLTは保険治療となります。片眼あたり

1割負担 約9660円

2割負担 約19320円

3割負担 約28980円

 

新しいYAGレーザーを導入しました

院長の岸本です。
開院から早くも7年目となりました。
今回NIDEK社の新しいYAGレーザー YC-200を導入しました。
YAGレーザーは以前こちらのブログにも紹介させていただいたのですが
白内障手術後に視力が低下してきたときに使用されるレーザーとなります。

通常、白内障手術の際には水晶体の袋の中に人工レンズを固定する手術となるのですが
手術から時間が経過すると袋自体が濁ってくる場合があります。
これを後発白内障といいます。
このYAGレーザーを使用することにより袋の濁りを除去することができます。

今回の新しいYAGレーザーの機械の特徴は顕微鏡の性能が非常に良いために視認性が非常にあり操作しやすくレーザーの誤発を極力減らすことができます。
かつ、レーザーの切れ味が非常によいためレーザーを必要最小限にレーザーの処置ができるメリットがあります。

ぜひ、白内障手術後の視力低下を感じた方は来院ください。
どんどん、患者様にとってメリットがあれば新しい機器を導入していきますので今後ともよろしくお願います。

 

花粉症の方用のコンタクトレンズについて

先週くらいより花粉症の方の診察が非常に増えてきております。
今年は昨年より花粉量もかなり多いようです。
当院では花粉症の方には点眼、および鼻水、咳症状も強い方には同時に内服処方もしております。

この時期はコンタクトレンズされている方は特に大変になります。
当院ではアレルギーの方向けのコンタクトレンズを扱っております。

J&J社のワンデーアキュビュー セラビジョンアレルケアという商品を扱っております。
世界初の抗アレルギー剤を配合したコンタクトレンズとなります。

普段は普通のコンタクトレンズを使用中の方でも花粉症の今の時期だけでもこちらを使っていただければつらい目のかゆみも楽になるかもしれません。
ぜひお試しください。

https://acuvuevision.jp/contact-lenses/acuvue-1-day-allercare#

 

 

新しい視野検査機器の導入のお知らせ

あけましておめでとうございます。
当院は1月4日より通常診療となりますのでよろしくお願いいたします。

今回は緑内障の方の方にとって非常に朗報となりますので是非ご覧ください。
早速ですが、12月末より新しい視野検査の機械を導入いたしました。
クリュートメディカルのimo vifaという機種となります。昨年発売されたばかりの地域初導入の機器となります。

まずは視野検査という検査がどういう検査なのかということなのですが、まず視野とはなんでしょうか?

視野とは正面を見たときに上下左右の見える範囲のことを視野といいます。
緑内障になると視野が狭くなくなったり(視野狭窄)、部分的に見えなくなったり(視野欠損)する視野障害が起こってきます。通常、ゆっくりと視野が欠けていく、および普段は両眼でものを見ているために緑内障の存在に気が付いていない方も多く見られます。

また緑内障以外にも視野障害のでる病気もありますので眼科にとっては非常に大切な検査となります。

ただ、従来の機種では患者様にとって非常にデメリットがありました。

1.非常に時間がかかり集中力が持たない(片目10分~15分程度)。そのため検査中に寝てしまう方もいる。
2.目がきょろきょろ動くために正確なデータがとれない場合がある
3.非検査眼にアイパッチを使用し片目をふさいで検査の必要がある

当院では12月初旬から、実際この機種をしばらくデモで使用していたのですが
1.時間が片目あたり4~5分程度と非常に早い
2.直接覗き込むような体勢のため固視不良が少ない
3.アイパッチを使用せず両眼開けたまま検査できる

実際に1ヵ月弱で数十人検査を施行しましたがいずれも、今までの検査より非常に楽だったという意見が多かったために導入することとなりました。

40歳以上になれば20人に1人は緑内障といわれておりますが、視野検査は通常6カ月に一度は必要といわれておりますが非常に苦痛な検査となります。

ただ、今回導入しました最新のino vifa使うことにより、かなり検査が楽になると思います。
他院で視野検査が難しかった方も、是非試していただければと思います。


上記画像のように、覗き込んで片手にスイッチを持ち、光が見えた場合にスイッチを押す検査となります。

https://www.crewt.co.jp/product/imovifa

きしもと眼科では、今後も、どんどん新しい患者様にとってメリットがありそうな新しい検査機器、治療機器を導入していきますのでよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドライアイの新しい点眼薬の処方開始しました

きしもと眼科、院長の岸本です。

11月17日より新しい点眼薬 ジクアスLXが処方可能となりました。
これまでジクアスという点眼薬ですがドライアイ用の点眼薬として、最近は一番処方されている非常に効果がある点眼薬です。
ただ欠点として1日6回点眼とかなり回数が多いため忙しい現代人にとって、なかなか処方通りの点眼回数を維持することができないという声が多く寄せられておりました。

今回それを解決するためにジクアスLX1日3回、朝、昼、晩だけで以前のジクアスと同程度の効果があるというのが売りの点眼薬となります。

私自身も、コンタクトレンズを使用し、仕事上PC作業が多いためドライアイ症状があるので早速、当新薬を試しました。

〇点眼回数が少なくなっても、目の渇きやゴロゴロ感が感じづらくなったことは使いやすさにつな  がると思いました。

〇仕事の合間に点眼をする必要がなくなったこともメリットではないでしょうか。

当院ではドライアイ治療にも力をいれており、点眼治療だけでは効果を実感しにくい方に対しても施術として、『IPL』という最新の治療法も導入しております。自由診療となりますが、何回か繰り返して施術することにより、非常に効果を実感できるドライアイ治療となります。

眼の渇き、まばたきをしても感じる目の疲労感など、思い当たる症状のある方は一度、当院で相談してみてはいかがでしょうか。

 

最新の手術顕微鏡、プロベオ8を導入しました

きしもと眼科院長、岸本です。

先週からライカ社の最新最上位機種のproveo8を導入いたしました。
昨今の半導体不足の影響か、価格が高騰しているのと、納期が少しかかりましたがようやく導入に至りました。

以前、当院ではカールツァイス社のVISU160を使用しておりましたがある程度までの進行の白内障では問題なかったのですが、手術件数がの増加に伴い非常に進行した白内障の症例が増えてきました。
手術の際に重要なことは、もちろん手術者の腕、手術機械の性能、濁った水晶体の状態を鮮明に見て処理できるかとなってきます。

今回の顕微鏡のメリットは手術の際の視認性にすぐれ、かつ通常より光を落とした状態でも手術が可能となるため、手術時間の短縮、および手術の際のまぶしさを極力減らすことが可能となり患者様にとってもより安心して手術を受けることが可能になります。
デメリットは前機種よりかなり大きくかさばることですね。1.5倍くらいの大きさがありますね。

白内障手術機器、手術顕微鏡は術者にとっては手足のようなものであり、優れた性能の機種を使用することにより、より安心、安全に手術ができます。

きしもと眼科ではこれからも、より良い医療を提供できますように、新しい検査機器、手術機器を導入していきます。

 

 

 

白内障手術後の患者様は是非ご覧ください

当院、もしくは他院で以前に白内障手術を受けれれたことのある患者様は是非ご覧ください。

白内障手術を受けると、白内障以外に眼の病気が無ければ、ほとんどの患者さんでは見え方(視機能)が改善します。しかし、白内障手術後しばらくすると視機能が低下してくることがあります。
霞みが増えて見づらくなるといった白内障と似たような症状をきたしてきます。

その原因の1つに、後発白内障があります。これらは白内障手術後において発生頻度の高い合併症ですが、通常、簡単な外来のYAGレーザー治療で良くなりますので心配はありません。

後発白内障とは
白内障の手術の際は、水晶体の嚢の中に人口レンズを挿入して手術を終了します。
しかし、手術後しばらくすると水晶体嚢が水晶体細胞が増殖することにより図のように濁りが出てきます。軽度であれば問題ありませんが濁りが増えれば増えるほど光の透過性が低下することにより視機能が低下してきます。
術後5年以内に20%の患者様に発生してくるといわれており珍しい病気ではありません。

治療法
治療法としてはYAGレーザーという光を利用することにより、水晶体嚢に穴をあけることにより濁りを除去することが可能です。痛みのない短時間で終わる外来の処置となりますので安心して受けていただくことができます。

当院、もしくは他院で白内障手術を受けられた方も、多数YAGレーザーを施行しておりますので白内障手術後で気になる方は是非来院ください。

近視抑制について

こんにちは、院長の岸本です。

当院は日本近視学会に所属しており小児の近視治療において積極的に治療を進めている眼科となります。最近特に、COVIDの影響、ITの進歩により自宅でのPCを使った授業などの普及により視力が低下された学童期のお子様を以前よりもよく診るようになった気がします。

近視の進行には遺伝的な要素、生活環境の両方の要素が関与するといわれております。よく、近視を治す方法がないかと聞かれるのですが現在においても近視を完全に止める方法はないのが現状です。

現在、近視抑制の治験のため当院でもプロジェクトに参加しており、いずれは進行抑制の点眼が市販化される可能性はあるかもしれませんが、現在は未定です。

日本近視学会のページより

1.低濃度アトロピンによる予防
2.オルソケラトロジーによる予防
3.多焦点ソフトコンタクトレンズによる予防
4.特殊なメガネによる予防

現在、学会においてもエビデンスがある近視抑制はこのくらいといわれています。ただし、いずれにおいても現在のところ保険診療からは外れてしまいますのでご注意ください。
世の中には怪しげな近視を治す(?)治療器具、治療などがあり、よく聞かれることがあるのですがエビデンスとしては医学的には乏しいと考えておりますのでご注意いただければと思います。

下記リンクより日本近視学会の一般の方向けのページとなりますのでご覧ください。

https://www.myopiasociety.jp/general/about/